真・ホドリゴ日記

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文七元結

左官の長兵衛という者があった。

長兵衛は腕のたつ職人であったが、部類の博打好きが高じて、ここ3年程働いていない。
年の瀬も迫るある日、長兵衛はいつものように博打に負け、身包みを剥がされて帰ってきた。

「おい、お兼。今帰ったぞ。なんだ明りぐらい点けろってんだこんちくしょうめ。」

「あんたまた働きもしないで遊んで帰ってきたんでしょう。
 そんなことより大変です。娘のお久が居ないんです。
 あんたが働かずに博打にのめりこんで、あたしらが毎日ケンカばかりしているもんで、嫌んなって出て行ったんに違いない。
 あの娘がいなけりゃあ、あたし生きていけない。」

「まぁ待ちやがれ、まだ出て行ったって決まったわけじゃない。
 どこぞで遊んでいるかもしれねえ。
 心当たりを探そうじゃねえか。」

2人言い争っている最中、来客があった。

「しばらくで御座います。藤助でございます。」

「おお、吉原の女郎宿、佐野槌の番頭、藤助か。
 仕事の依頼か。すまねぇ、今それどころじゃねぇんだ。」

「それどころじゃないとは、もしやお久さんのことでお揉めじゃあ、ありませんでしょうか。」

「おう、そうだい。お久が昨晩からいねえんだい、なんぞ心当たりでもあるのか。」

「そのお久さんでございますが、昨夜から当店にお出ででございます。
 女将と一晩中なにやらお話していたようでございますが、今朝になって女将が長兵衛を迎えに連れて来いと申すもので、こうやってお呼びに参りました。

「なんだってお久が女郎なんぞに行ってやがるんだい、すぐ行くから待ってやがれ。」


場所は変わって吉原の女郎宿、佐野槌。長兵衛が娘のお久を迎えに来た。

「おい、お久。なにしてやがる。母あが心配してるじゃねえか。すぐ帰るぞ。
 あ、これは女将。うちのお久の馬鹿が迷惑かけたようで。おい、お前も謝れってんだ。」

「誰が馬鹿なもんですかい。」
と、剣幕を変えて女将。

「今時こんなできた娘さんも居たもんじゃあないよ。
 あんた、聞くところによるともう3年も働きもせずに博打を打ってばかりだそうじゃあないかい。
 そうして家では奥さんと喧嘩ばかり。
 気に病んだお久さんが、『ここで働くので、父がまた働いてやっていけるだけお金を工面して下さい』
 とこう言うじゃあないか。
 因果応報で吉原に身を沈める娘さんは数多く見てきたが、親父さんのために進んで来る娘なんて初めてだ。
 あんた恥ってもんを知ったらどうだい。」

「いや、女将。確かにうちぁお久が申したとおりの状況でございますが、
 何も娘を女郎へ売ろうなんてこと、私も腐っても親です。そんなこたぁできません。
 どうもお久がお世話になりました。金の工面はこちらでなんとかします。」

「強がっているんじゃあないよ。
 どうせ仕事道具も質に入れているんだろう。それに3年も働いてないとあれば当面の生活費もないだろう。
 いくら必要なんだい。言って御覧なさい。」

「そうですね。質の道具を取り戻して、仕事がまた起動に乗るまでの生活費ってぇと、
 三十両もあればなんとか。」

「よし、わかった五十両貸してやろう。これで真面目に働くんだよ。
 で、その五十両だが、いつ返せるんだい。」

「助かります。来年の盆までになんとか。」

「わかった、来年の大晦日まで待とうじゃないかい。
 お久さんの為だ、利子は取らない。その代わり、あんたが五十両返すまでの間、お久さんはうちで預からせてもらうよ。
 なあに、客は取らせない。女郎宿っても色んな仕事があるもんだ、針の仕事でもやってもらう。
 ただね、来年の大晦日を過ぎて、あんたが五十両返せないようなら、あたしも心を鬼にさせてもらうよ。
 お久に客をつける。こんな身体の小さな女の子だ、悪い客でもつこうもんなら、カタワにならんとも限らない。
 そうなってもね、あたしを恨むんじゃあないよ。」

「わかりました。
 おいお久。この俺が悪かった。
 今日から俺も心を入れ替えて働くから、お前も女将さんに迷惑かけるんじゃあねえぞ。」

そう言って女郎宿を出た長兵衛、改心した帰り道、吾妻橋を通りかかった。
すると吾妻橋の中ほど、橋から川を見下ろし、身を投げようとする者があった。

「おい、何やってんだ。滅多なことをするもんじゃあないよ。
 どうしたってんだ。訳を話してみろ。」
と、長兵衛。

「どうか止めねえでください。
 あっし鼈甲問屋で奉公している者なんですが、主人の使いへ行った帰り、五十両の売り上げを落としてしまったんです。
 五十両もの大金、あっしに工面できるはずもなく、こうして命をもって主人へ詫びようと、こういう訳でございます。」

「だからって死んでどうすんだい。死んで花見が咲くものか。
 どうしたって死ぬってぇのかい。ああわかった、好きにしろ。
 いや待て、あんた五十両って言ったな、それが用意できりゃあ身を投げる必要もないんだな。
 わかった。ここに五十両ある。これを主人に渡しやがれ。持ってけ泥棒。
 遠慮なんかするんじゃねえ。江戸っ子が一度渡したもんを受け取れるかってんだ。
 
 こいつは俺の娘を女郎に預けて借りた金だ。
 これが返せねえと俺の娘は客をとらされてカタワんなっちまうかもしれねえ。
 だが何も死ぬわけじゃねえ。
 俺に感謝なんていらねえから、この金を主人に渡したら、『佐野槌のお久がどうかカタワになりませんように』
 と、おめえの神さんに祈ってやってくれ。
 じゃあな、死ぬんじゃねえぞ。」

「お待ちください。そんなお金、受け取れません。」

「うるせえってんだ。その金持って、とっとと消えやがれ。」

長兵衛、金をぶつけて走って逃げてしまった。
長兵衛から金を受け取った文七、奉公先に戻って主人に金を渡した。

「確かに、売り上げの五十両いただいて参りました。」

「おい待て。」
と主人。
「ついさっき、お前が使いに行った先のご主人が、『文七さんが忘れて行きましたよ』と、
 売り上げの五十両を届けてくだすった。
 お前、この金どこから持ってきたんだ。一体どういうわけだい。」

「は、実は。
 うっかり落としたものと思い込んで身を投げようとしていたところ、親切な方にいただいて。」

「なに、そいつは大変だ。
 なんとしてもその方に五十両を返さないとなるめえ。
 その方、どこの方か心当たりはないか。
 なに、女郎の佐野槌に娘を預けている。佐野槌なら知っている。すぐにどこの娘さんか聞きに行こう。」

場所は変わって長兵衛の長屋。
長兵衛が事の顛末を妻に話しても妻は信じず、『うちの人が五十両ちょろまかした』と騒ぐばかり。
そこへ鼈甲問屋の主人が奉公人の文七を連れてきた。

「突然失礼いたします。こいつの顔に見覚えはございませんか。」

「あ、おめえはさっき身投げしようとしていた奴。ほれ見ろ、本当にこいつに五十両渡したんだよ。」

「あの件はこいつの早とちりでして、売り上げの五十両は私が受け取っていたんです。
 今日はその五十両をお返しすることと、一つお頼みごとがございまして、
 この文七には身寄りがございません。見ず知らずの者に大事なお金を渡すあなたのような方に、どうか親代わりになってほしいんでございます。」

「親代わりっても、見ての通り私らは貧乏だ。面倒なんてとても見れねえ。
 それどころか、親戚だってんであんたに金を借りに行くかもしれねえ。それでもいいってんなら。」

「それなら話は早い、こちらに酒を用意してございます。それからよい肴が、おい、持って参れ。」

戸を開けて入ってきたのは、なんと

「ユ、ユリア。死んだのではなかったのか。」

「レイの元から身を投げたユリアは南斗聖拳の伝承者。あれしきのことでは死なない。
 この北斗神拳最強の男、拳王様がお前からユリアも奪ってくれるわ!」

「ラ、ラオウ。貴様は、俺が倒す!!」

これが、ケンシロウとラオウの哀しき闘いの幕開けとなった。

続く

<参考資料>


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  1. 2009/11/03(火) 10:13:06|
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